今日は、さおりさんのことをお話しさせていただきます。
さおりさんは、生まれるときに重度の脳しょうがいを背負って生まれてきました。
さおりさんは、生まれる前にこのからだを自分で選んで、生まれてきたそうです。
話せない、歩けない、自分で食べることができない、排泄することができないという、この体に生れるということはどういうことでしょうか。
生きていること自体が修行のようなものではないでしょうか。
おかあさん、おなかすいた。背中がかゆいの。おなかいたい。
それら、ちょっとしたことを言葉で伝えることができないのです。
まわりにいる私たちが、心の目や耳を全開にしていないと、さおりさんの声にならない心の声はうけとれません。
さおりさんの心の声を見逃さないよう、今にしっかりと生きていくこと、心をまっさらにして、さおりさんに寄り添うことが、必要です。ともすると、さおりさんの小さな声は見逃されてしまいます。さおりさんは今、なんていっているんだろう。おなかが張って痛いのかな。それとも背中が痛いのだろうか。と、さおりさんの身になって考えることで、福祉の心を学ばせていただいています。
さおりさんは、6年前の入院のときに、肺炎にかかり重篤な状態になって生死の境をさまよいました。
治療のために、大量のステロイド剤とモルヒネを投与され、昏睡状態になったさおりさんは、約一か月間ねむりつづけましたが、たくさんの方々の祈りによって奇跡的な回復をしました。
虚空へ帰るところを、さおりさんは私たちの学びのために帰ってきてくれたのかもしれません。